にんじんの葉と皮もごちそうに。栄養を丸ごといただく彩り豊かな知恵
日々の食卓を彩るお野菜の一つ、にんじん。その鮮やかな色合いと甘みは、煮物、炒め物、サラダと、様々な料理で重宝されています。しかし、一般的にはにんじんの根の部分が食べられ、葉や皮は捨てられてしまうことが多いのではないでしょうか。長年料理に携わってこられた皆様も、そうした経験をお持ちかもしれません。
「未来につながる今日のごはん」では、食材の持つ可能性を最大限に引き出し、食品ロスを減らす知恵を大切にしています。実は、にんじんの葉や皮には、根の部分に負けないほどの栄養価と、料理に深みを与える豊かな風味が隠されているのです。これらを無駄なく活用することは、環境への配慮だけでなく、食卓をより豊かにする新しい発見にもつながります。
今回は、通常捨てられがちなにんじんの葉と皮に焦点を当て、その栄養的な価値と、驚くほど美味しい活用法をご紹介いたします。
にんじんの葉の豊かな魅力と活用法
にんじんの葉は、根の部分とは異なる爽やかな香りと、ほろ苦さが特徴です。緑黄色野菜ならではのβ-カロテンはもちろんのこと、ビタミンKやカルシウム、鉄分なども豊富に含まれており、栄養面でも大変優れています。新鮮なにんじんが手に入ったら、ぜひ葉付きのものを選んでみてください。
1. にんじんの葉のふりかけ
ご飯のお供にぴったりの、香り高いふりかけです。
材料 * にんじんの葉:1束分 * ごま油:大さじ1 * ちりめんじゃこ:大さじ2(お好みで) * 白ごま:大さじ1 * 醤油:大さじ1 * みりん:大さじ1
作り方 1. にんじんの葉はよく洗い、水気をしっかりと切ります。細かく刻んでください。 2. フライパンにごま油を熱し、刻んだにんじんの葉を炒めます。しんなりとして香りが立つまで、中火でじっくりと炒めることが大切です。 3. ちりめんじゃこを加える場合は、ここで一緒に入れて炒めます。 4. 醤油とみりんを加えて水分を飛ばすように炒め合わせます。 5. 最後に白ごまを加えて混ぜ合わせたら完成です。
ポイント 弱火でじっくりと炒めることで、葉の水分が飛び、香ばしく仕上がります。焦げ付かないよう、時々混ぜながら炒めてください。
2. にんじんの葉とじゃがいものジェノベーゼ風
バジルを使うジェノベーゼソースの代わりに、にんじんの葉を使ったソースです。意外な組み合わせですが、じゃがいもとの相性は抜群です。
材料 * にんじんの葉:1束分 * じゃがいも:2個 * にんにく:1かけ * オリーブオイル:大さじ3〜4 * 粉チーズ:大さじ2 * 塩:少々 * 粗挽き黒胡椒:少々 * ナッツ類(くるみや松の実など、お好みで):大さじ1(なくても可)
作り方 1. にんじんの葉はよく洗い、水気を切って粗く刻みます。じゃがいもは皮をむき、一口大に切ります。 2. 鍋にじゃがいもが浸るくらいの水を入れ、柔らかくなるまで茹でます。 3. にんじんの葉、にんにく、オリーブオイル、粉チーズ、塩、お好みでナッツ類をミキサーまたはフードプロセッサーに入れ、なめらかになるまで撹拌します。 4. 茹で上がったじゃがいもを器に盛り、3のソースをたっぷりとかけます。 5. 粗挽き黒胡椒を振って召し上がってください。
ポイント ソースはミキサーにかける前に、にんじんの葉を軽く茹でてから冷水に取り、水気を絞ると、よりなめらかで色鮮やかに仕上がります。
にんじんの皮を美味しく賢く活かす
にんじんは皮と実の間に特に栄養が豊富に含まれていると言われています。そのため、できる限り皮ごと使うのが理想的ですが、調理法によっては皮をむくこともあるでしょう。そんな時でも、むいた皮を捨てるのはもったいないことです。
1. にんじんの皮のきんぴら
定番のきんぴらを、にんじんの皮で作ってみませんか。短時間で手軽に作れる一品です。
材料 * にんじんの皮:にんじん2〜3本分 * ごま油:大さじ1/2 * 鷹の爪(輪切り):少々(お好みで) * 醤油:大さじ1 * みりん:大さじ1 * 酒:大さじ1 * いりごま:少々
作り方 1. にんじんの皮は千切りにします。多少太くなっても、食感のアクセントになります。 2. フライパンにごま油を熱し、鷹の爪を加えて香りを立たせます。 3. にんじんの皮を加え、しんなりするまで炒めます。 4. 醤油、みりん、酒を加えて、水分を飛ばしながら炒め煮にします。 5. 全体に味がなじんだら火を止め、いりごまを振って完成です。
ポイント ごぼうや大根の皮など、他の野菜の皮も一緒に加えて「野菜の皮ミックスきんぴら」にするのも良いでしょう。
2. 野菜くずスープの出汁
にんじんの皮は、野菜くずを集めて作るベジタブルブロス(野菜だし)にも最適です。野菜の旨味が凝縮されただしは、日々の料理に深い味わいを加えてくれます。
材料 * にんじんの皮:適量 * 玉ねぎの皮:適量 * セロリの葉や根元:適量 * その他、野菜のヘタや芯など:適量 * 水:鍋の容量に合わせて
作り方 1. 集めた野菜くずは、軽く水洗いして鍋に入れます。 2. 野菜くずが十分に浸るくらいの水を加え、蓋をして火にかけます。 3. 沸騰したら弱火にし、30分から1時間ほど煮込みます。アクが出る場合は適宜取り除いてください。 4. 火を止め、ざるなどで野菜くずを濾したら、クリアな野菜だしの完成です。
ポイント このだしは、ポトフや味噌汁、煮込み料理のベースとして幅広く活用できます。製氷皿に入れて冷凍しておくと、使いたいときに手軽に利用できます。
鮮度を保つための保存方法
にんじんの葉付きのものを購入した場合、葉は根から栄養を吸い上げてしまうため、そのままにしておくと根がしなびやすくなります。
- にんじんの葉: 根から切り離し、軽く湿らせたキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。2〜3日中に使い切るのが理想的です。長期保存したい場合は、さっと茹でて水気を絞り、小分けにして冷凍することもできます。
- にんじんの皮: すぐに使わない場合は、水気を拭き取り、ジップロックなどの保存袋に入れて冷蔵庫で保管し、数日中に使うか、上記のだしのように利用してください。
まとめ
にんじんの葉や皮は、これまで当たり前のように捨てていたかもしれませんが、実は私たちの食卓を豊かにし、地球環境にも優しい素晴らしい食材です。これらの未利用部分を上手に活用することは、食材への感謝の気持ちを育み、毎日の料理に新たな発見と喜びをもたらしてくれるでしょう。
ぜひ今日から、にんじんを丸ごと美味しくいただく知恵を、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。皆様の豊かな食生活の一助となれば幸いです。